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ファクタリングのメリットと、僕が実際に使って感じた「想定外のデメリット」。綺麗事だけじゃない、本当の話をします。

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支払日を3日後に控え、通帳の残高が、息子の小遣いより少ない8万円になったあの夜のことを、今でも鮮明に覚えています。

はじめまして。
「キャッシュフローの死線を越えた、不死鳥社長」こと、坂上 浩一と申します。

かつて私は、順調だったはずの会社が「黒字倒産」寸前に追い込まれ、まさに地獄の淵を彷徨いました。
銀行からは見放され、親戚に頭を下げても相手にされず、たった一人、オフィスの冷たい床の上で会社の登記簿を握りしめて夜を明かしたこともあります。

そんな八方塞がりの状況で、私と会社を救ってくれたのが「ファクタリング」という資金調達の方法でした。

この経験から、私はファクタリングの素晴らしさを誰よりも知っていると自負しています。
しかし、同時に、その裏側にある「想定外のデメリット」や「依存する怖さ」も、身をもって痛感しました。

この記事は、巷にあふれる「ファクタリングは最高!」といった綺麗事だけの記事ではありません。
私が実際に泥水をすすり、胃が焼け付くような思いで経験した、ファクタリングの光と闇。
その全てを、包み隠さずお話しします。

もし今、あなたがかつての私と同じように、資金繰りの不安で眠れない夜を過ごしているのなら。
この記事は、あなたのためのものです。
大丈夫、その痛みは僕が一番よく分かりますから。

そもそもファクタリングとは?崖っぷちの僕を救った「最後の命綱」の正体

「ファクタリングって、要するに借金でしょ?」

そう思っている社長は、意外と多いかもしれません。
ですが、それは全く違います。
銀行に融資を断られ続けた当時の私も、最初はそう誤解していました。

難しい言葉を並べるつもりはありません。
私自身の言葉で、翻訳させてください。

あなたの会社にある「売掛金(請求書)」。
これは、未来のあなたを救うための、時限式の現金カプセルです。
取引先から入金される日が来れば、それは会社の血液である現金に変わります。

そして、ファクタリングとは、その現金カプセルを、専用のタイムマシンを使って未来から「前借り」する技術のことです。

もう少し具体的に言うと、ファクタリング会社に「未来にもらえるはずのお金(売掛金)を受け取る権利」を買い取ってもらうことで、入金日を待たずに即座に現金を手に入れることができるサービスなのです。

これは、銀行からお金を借りる「融資」とは全くの別物。
融資は「負債」という名の重い鎖を会社に繋ぎますが、ファクタリングは自社が持つ「資産」を売却するだけ。
だから、決算書の上で負債が増えることはありません。

銀行から「これ以上の融資は無理です」と冷たく言い放たれ、心が折れかけていた私にとって、これ以上負債を増やさずに済むという事実は、何よりの救いでした。

僕が倒産の淵から生還できた3つの理由【ファクタリングのメリット】

通帳残高8万円からのV字回復。
それを可能にしたファクタリングには、銀行融資にはない、崖っぷちの会社を救うための大きなメリットがありました。
私の実体験から、特に「命を救われた」と感じた3つの理由をお話しします。

理由1. 絶望の48時間を終わらせた「圧倒的なスピード」

銀行融資を申し込んだことがある方なら分かると思いますが、審査には数週間、長ければ1ヶ月以上かかることもザラです。
しかし、数日後に迫る支払いを前にした私に、そんな時間はありませんでした。

藁にもすがる思いでファクタリング会社に電話をしたのが、月曜日の午前中。
必要書類をメールで送り、簡単なヒアリングを受けた後、審査結果が出たのはその日の夕方でした。

そして、翌日の火曜日。
私の会社の通帳には、確かに500万円が振り込まれていたのです。

あの時の、何度も通帳の数字を見返した時の安堵感と、久しぶりに「味のする飯が食えた」感覚は、一生忘れることはないでしょう。
この圧倒的なスピード感こそが、ファクタリングが「最後の命綱」と呼ばれる最大の理由です。

理由2. 負債を増やさない「心の平穏」

前述の通り、ファクタリングは借金ではありません。
これは、会社の財務状況を悪化させないというメリットだけでなく、経営者の精神衛生上、非常に大きな意味を持ちます。

「また借金が増えてしまった…」

この罪悪感とプレッシャーは、経営者の冷静な判断力を少しずつ、しかし確実に蝕んでいきます。
私自身、銀行に追加融資を断られた時、「これ以上、会社に重荷を背負わせることはできない」と追い詰められていました。

ファクタリングは、そんな私に「負債を増やさずに資金繰りを改善する」という選択肢を与えてくれました。
この心の平穏がなければ、その後の経営再建に向けた冷静な判断はできなかったかもしれません。

理由3. 赤字でも見捨てられなかった「最後の希望」

当時の私の会社は、もちろん赤字決算。
銀行が最も嫌う状況です。
彼らが見るのは、あくまで「過去の成績表」である決算書。
そこに書かれた数字が悪い会社に、未来を託してはくれません。

一方で、ファクタリング会社が見るのは、あなたの会社ではなく、あなたの「取引先」の信用力です。
つまり、「この売掛金は、本当に期日通り支払われるのか?」という未来の確実性だけを審査します。

だから、たとえ自社が赤字でも、税金を滞納していても、取引先が優良企業であれば、ファクタリングを利用できる可能性は十分にあります。
過去ではなく、未来を見てくれる。
誰にも相手にされなかった私にとって、それはまさに最後の希望の光でした。

【ここからが本題】綺麗事だけじゃない。僕が使って感じた想定外のデメリット3選

ここまで、ファクタリングの素晴らしい側面をお話ししてきました。
しかし、ここからが、私が本当に伝えたいことです。

ファクタリングは、魔法の杖ではありません。
使い方を間違えれば、会社をさらに深い沼に沈める「劇薬」にもなり得ます。
私が実際に使って感じた、綺麗事だけじゃない、想定外のデメリットをお話しします。

デメリット1. 会社の血液を少しずつ抜き取られる「手数料という名の重さ」

ファクタリングを利用するには、当然ながら手数料がかかります。
この手数料が、銀行融資の金利とは比べ物にならないほど重い。

ファクタリングには、大きく分けて2つの種類があります。

種類特徴手数料相場
2社間ファクタリングあなたとファクタリング会社の2社間での契約。取引先に知られずに済む。8% ~ 18%前後
3社間ファクタリングあなた、ファクタリング会社、取引先の3社間での契約。取引先の承諾が必要。2% ~ 9%前後

私が利用したのは、取引先に知られたくなかったため、手数料が高い「2社間ファクタリング」でした。
500万円の売掛金を資金化するために支払った手数料は、約10%。つまり50万円です。

手元に残ったのは、450万円。
もちろん、倒産を回避できたのですから、安いものだったのかもしれません。

しかし、経営が少し落ち着いてから、冷静に「あの50万円があれば、どれだけのことができたか…」と考えずにはいられませんでした。
新しいPCも買えたし、社員にボーナスだって少しは出せたかもしれない。

ファクタリングの手数料は、会社の血液であるキャッシュを、確実に抜き取っていくのです。
その重みを、決して軽く考えてはいけません。

デメリット2. 常に背後にある「取引先にバレるかもしれない恐怖」

2社間ファクタリングを選んだ最大の理由は、「資金繰りが悪化していることを取引先に知られたくない」という一心からでした。

もし、ファクタリングの利用が知られてしまったら?
「坂上の会社、もしかして危ないんじゃないか?」
そんな噂が広まれば、あっという間に信用を失い、取引を打ち切られるかもしれない。

契約上は、取引先に知られることはありません。
しかし、万が一、ファクタリング会社からの連絡ミスや、何かの手違いで情報が漏れたら…?
そんな「かもしれない恐怖」が、資金繰りが改善した後も、しばらく私の心を締め付けました。

この精神的なプレッシャーは、実際に経験した者でなければ分からない、重たいデメリットの一つです。

デメリット3. 一度使うと抜け出せない「ファクタリング依存という麻薬」

これが、私が最も警鐘を鳴らしたいデメリットです。
ファクタリングは、その手軽さとスピード感ゆえに、一度使うと抜け出しにくくなる「麻薬」のような側面を持っています。

一度目のファクタリングで、あなたは一時的な安心感を得るでしょう。
しかし、手数料の分だけ、本来入ってくるはずだったキャッシュは目減りしています。
その結果、翌月の資金繰りが、以前よりも少しだけ苦しくなる。

そして、その苦しさを解消するために、また次の売掛金をファクタリングしてしまう…。
この負のループに陥ると、もう自力で抜け出すのは困難です。

常に手数料を支払い続けることで、利益は圧迫され、会社は静かに衰弱していく。
根本的な経営改善から目を背け、その場しのぎのファクタリングを繰り返す。
これは、もはや資金調達ではなく、破滅へのカウントダウンです。

私は幸いにも、一度きりの利用で踏みとどまり、経営そのものを見直すことで立て直すことができましたが、一歩間違えれば、この「ファクタリング依存」という麻薬に溺れていた可能性は十分にありました。

魂を悪魔に売らないために。失敗しないファクタリング会社の選び方

ファクタリングは劇薬です。
だからこそ、処方箋を出す医者、つまりファクタリング会社選びは、あなたの会社の命運を左右します。
残念ながら、この業界には経営者の弱みにつけ込む悪徳業者も存在します。

私が会社を選ぶ際に、血眼になってチェックした3つのポイントをお伝えします。
これだけは、絶対に守ってください。

ポイント1. 契約書を血眼で読め!「償還請求権なし」は絶対条件

契約書に「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」という文字があったら、その会社とは絶対に契約してはいけません。

これは、「もし売掛先の会社が倒産したら、売掛金の回収責任はあなたにありますよ」という、とんでもない契約です。
つまり、ファクタリング会社は一切リスクを負わず、あなたは売掛金を現金化した後も、取引先の倒産リスクを背負い続けることになります。

これでは、もはや債権の売買ではなく、売掛金を担保にした「ただの借金」です。
「償還請求権なし(ノンリコース)」
これが、正当なファクタリングの絶対条件です。

ポイント2. 手数料の内訳を1円単位で確認する

「手数料は8%です」
そう言われても、鵜呑みにしてはいけません。

悪徳業者は、基本手数料以外に「登記費用」「事務手数料」「出張費」など、様々な名目で追加費用を請求してくることがあります。
最終的に、合計金額が相場を大きく逸脱するケースも少なくありません。

見積もりを取る際は、必ず「手数料以外に、支払う必要のある費用は1円でもありますか?」と確認し、全ての費用が含まれた総額で比較検討してください。

ポイント3. その会社の「顔」が見えるか?

ウェブサイトに会社の住所や代表者名がきちんと記載されているか。
電話の対応は丁寧か。
あなたの質問に対して、誠実に、分かりやすく答えてくれるか。

当たり前のことですが、追い詰められている時ほど、こうした基本的な確認を怠りがちです。
あなたの会社の命運を預けるパートナーです。
機械的な対応しかできない会社に、大切な会社の未来を託せますか?

数字だけでなく、その会社の「顔」や「体温」を、あなた自身の目でしっかりと確かめてください。

まとめ:社長、あなたの会社は、まだ死んでいない。

ファクタリングは、メリットもあれば、私が経験したような手痛いデメリットもある、まさに「劇薬」です。
決して安易に手を出すべきではありません。

しかし、全ての選択肢が絶たれ、倒産しか道がないと思えた時。
それは、あなたの会社を救う「最後の希望」になり得ます。

この記事のポイントを、もう一度確認しましょう。

  • ファクタリングは借金ではなく、未来の現金を前借りする技術
  • 「スピード」「負債にならない」「柔軟な審査」という強力なメリットがある
  • 一方で、「手数料の重さ」「信用の問題」「依存性」という深刻なデメリットも存在する
  • 利用する際は「償還請求権なし」を絶対条件に、信頼できる業者を慎重に選ぶこと

あの絶望の夜、私は本気で「もう終わりだ」と思いました。
しかし、諦めずに探し続けた先に、ファクタリングという選択肢がありました。
そして今、私の会社は生きています。

だから、あなたもまだ大丈夫です。
諦めるのは、全てのカードを切り尽くしてからでも遅くありません。

まずは、机の中にある請求書を全部出してみてください。
それが、今のあなたにとってはただの紙切れに見えるかもしれません。
でも、それは未来のあなたを救うための「埋蔵金」です。

あなたは、決して一人ではありません。