ファクタリング審査で僕が正直に話したこと、逆に見栄を張って隠そうとしたこと。担当者は全てお見通しでした。

支払日を3日後に控え、会社の通帳残高が、高校生の息子の小遣いより少ない8万円になったあの夜のことを、今でも鮮明に覚えています。
オフィスでたった一人、胃が焼け付くような感覚と、心臓を氷水で冷やされるような焦りに襲われながら、僕は途方に暮れていました。
銀行からは追加融資を断られ、親戚にも頭を下げましたが、返ってきたのは冷たい言葉だけ。
まさに八方塞がり。
顧問税理士から「最後の手段ですが…」と教えられたのが、ファクタリングでした。
この記事は、崖っぷちに立たされた僕が、ファクタリングという一本の命綱を掴もうとした時の、恥ずかしい失敗談です。
そして、審査を突破するために本当に大切な、たった一つの真実についてお話しします。
もしあなたが今、あの夜の僕と同じように、孤独と絶望の中で眠れない夜を過ごしているのなら、もう少しだけ、お付き合いください。
大丈夫、その痛みは僕が一番よく分かりますから。
目次
ファクタリング審査前夜、僕が抱えていた「見栄」という名の重い鎧
藁にもすがる思いでファクタリング会社に問い合わせ、翌日に担当者との面談が決まりました。
希望の光が見えたはずなのに、僕の心は鉛のように重かったのを覚えています。
なぜなら、僕の頭の中は「どうやって、この絶望的な状況をマシに見せるか」という考えでいっぱいだったからです。
「社長は弱音を吐いてはいけない」という呪い
僕は、父親が経営していた印刷工場が、黒字のまま廃業する姿を目の前で見てきました。
だからこそ、「どんな嵐が来ても、従業員とその家族を守れる会社を作る」と誓って独立したんです。
その想いが、いつしか「社長は常に強く、完璧でなければならない」という呪いになって、僕自身を縛り付けていました。
資金繰りに失敗したなんて、経営者として失格の烙印を押されるようなものだ。
弱みを見せたら、足元を見られて買い叩かれるに違いない。
そんな見栄と恐怖心が、僕の心を支配していたのです。
隠し通せると思っていた、会社の恥ずべき「アキレス腱」
僕は夜通し、担当者に提出する資料を眺めながら、どう言い訳をするか、どう取り繕うかということばかり考えていました。
売上は立っている。
だから、これは一時的な資金ショートなんだ、と。
そう自分に言い聞かせながら、会社の恥ずべき「アキレス腱」とも言える、いくつかの不都合な真実から目を背けていました。
まさか、それが全てお見通しになるとも知らずに…。
【全告白】僕が審査で隠そうとした、3つの不都合な真実
今だから正直に話せますが、当時の僕は、ファクタリングの担当者を「敵」だと思っていました。
だから、会社の弱点を必死で隠そうとしたのです。
僕が隠蔽しようとした、情けない3つの真実をお話しします。
真実①:だらしない経営者だと思われたくなかった「税金の滞納」
キャッシュフローが悪化する中で、僕は支払いの優先順位をつけざるを得ませんでした。
そして、後回しにしてしまったのが、消費税や法人税などの納税です。
もちろん、支払う意思はありました。
しかし、目の前の仕入れ先や外注先への支払いを止めれば、事業そのものが止まってしまう。
苦渋の決断でしたが、結果として税金を一部滞納してしまっている状態でした。
これは、経営者としてあまりにだらしがない。
こんなことを知られたら、「計画性のない、ずさんな経営者だ」と一発で審査に落とされるに違いない。
そう思い込み、納税証明書の提出を求められたらどうしようかと、冷や汗をかいていました。
真実②:交渉力のなさを悟られたくなかった「一部売掛先との関係悪化」
今回、資金化しようと考えていた売掛金の中には、実は少しだけトラブルを抱えているものが含まれていました。
納品したデザインに修正が重なり、請求金額を少し値切られていたのです。
もちろん、請求書通りの金額は入金される約束でしたが、担当者同士の関係は少しギク-シャクしていました。
ファクタリングは、売掛先の信用力が重要だと聞いていました。
だから、「取引先との関係も良好です」とアピールしたかった。
関係が悪化しているなんて口が裂けても言えませんでした。
交渉力のない社長だと思われたくなかったのです。
真実③:計画性のなさを笑われたくなかった「甘すぎた資金繰り計画」
「今回の資金ショートは、あくまで一時的なものです。この500万円さえ入れば、来月にはこうなって、再来月にはこう回復します」
僕は、担当者にそう説明するための、完璧な資金繰り改善計画書を徹夜で作っていました。
しかし、その計画は希望的観測を詰め込んだだけの、砂上の楼閣でした。
本当は、なぜ資金がショートしたのか、根本的な原因分析もできていませんでした。
ただただ、「計画性のないバカな社長だ」と笑われたくない一心で、もっともらしい数字を並べていただけだったのです。
担当者の「坂上さん、正直にお話しいただけますか?」という一言
翌日、ファクタリング会社の応接室で、僕は作り上げた完璧なストーリーを語り始めました。
しかし、僕が話せば話すほど、目の前の担当者の表情が曇っていくのが分かりました。
そして、僕のプレゼンが佳境に差し掛かった時、担当者は僕の資料から顔を上げ、まっすぐに僕の目を見て、静かにこう言ったのです。
「坂上さん、ありがとうございます。ですが、一度資料から目を離して、本当のことをお話しいただけますか?」
核心を突く質問に、心臓を氷水で冷やされるような焦りを感じた瞬間
その一言で、僕の頭は真っ白になりました。
まるで、薄っぺらい鎧を一枚ずつ剥がされていくような感覚。
担当者は、僕が隠そうとしていた核心を、次々と穏やかな口調で質問してきました。
「納税状況についてですが、何かお困りごとはありませんか?」
「こちらのA社様との取引ですが、最近何かトラブルなどはありませんでしたか?」
なぜ、知っているんだ…?
背中を冷たい汗が伝うのを感じながら、僕は言葉を失いました。
なぜ担当者は知っていたのか?彼らが見ている「裏側」のデータとは
後から知ったことですが、彼らプロは、僕ら経営者が見ているものとは全く違う情報網を持っています。
- 信用情報機関のデータ: 帝国データバンクなどを通じて、売掛先の経営状況はもちろん、私たちの会社の情報も把握しています。
- 取引履歴の確認: 提出された通帳のコピーから、入金サイクルの乱れや不自然な金の動きを読み解きます。
- ヒアリングのプロ: そして何より、彼らは何百人もの経営者と向き合ってきた「人を見るプロ」です。言葉の端々や目の動きから、嘘や隠し事を見抜くのです。
僕が隠し通せると思っていたアキレス腱は、最初から全て見抜かれていたのです。
腹を括って全てを話した僕に起きた、予想外の展開
観念しました。
僕は、作り上げた計画書をテーブルの隅に押しやり、頭を下げました。
そして、税金を滞納していること、一部の売掛先と揉めていること、本当は具体的な再建計画など何もないこと、全てを正直に話しました。
もう終わりだ。
こんな情けない社長に、金を貸してくれるところなんてあるはずがない。
しかし、僕が顔を上げると、担当者はそれまでで一番優しい顔で頷き、こう言ったのです。
「ありがとうございます。正直に話していただけたので、対策が立てられます」
僕は耳を疑いました。
怒られるか、呆れられるか、そのどちらかだと思っていたからです。
担当者は続けました。
「税金を滞納されているなら、税務署に差し押さえられる前に資金化する方法を考えましょう」
「A社様との関係が不安なら、今回はより関係が良好なB社様の売掛債権を使いましょう」
「計画がないなら、まずはこの状況を乗り切ることだけを考えましょう。再建計画は、私たちが一緒に考えます」
それは、僕にとってまさに天の啓示でした。
正直さが生んだ「信頼」という名の最強の武器
僕が必死で隠そうとしていた問題点は、彼らにとっては「対策を立てるべきリスク」でしかなかったのです。
そして、そのリスクを正直に開示してくれた僕のことを、「信頼できるパートナー」だと判断してくれたのです。
もし僕が嘘をつき続けていたら、彼らは「信頼できない経営者」と判断し、審査に通すことはなかったでしょう。
たとえ審査に通ったとしても、後で嘘が発覚すれば、契約違反で一括返済を求められる可能性すらあったのです。
なぜ隠すより、正直に話した方が有利になるのか?その本当の理由
ファクタリング会社にとって一番の恐怖は、売掛金が回収不能になることではありません。
それは、「利用者(経営者)が信頼できないこと」なのです。
問題が起きても正直に報告し、一緒に対策を考えてくれる経営者であれば、彼らは喜んで力を貸してくれます。
しかし、嘘で固めた経営者は、何かトラブルが起きた時に、さらに嘘を重ねて逃げようとするかもしれない。
それこそが、彼らにとって最大のリスクなのです。
僕がプライドを捨てて全てを話した瞬間、担当者は「敵」から「共に戦うパートナー」に変わりました。
そして、その日の夕方、僕の会社の口座に500万円が振り込まれたのです。
久しぶりに、「味のする飯」を食べることができました。
これから審査に臨む、かつての僕と同じ悩みを持つあなたへ
もしあなたが今、ファクタリングの審査を前に、かつての僕と同じように「どうやって良く見せようか」と悩んでいるなら、伝えたいことがあります。
あなたが伝えるべきは「完璧な計画」ではなく「再建への熱意」
ファクタリングの担当者は、完璧な経営者などこの世にいないことを知っています。
彼らが見たいのは、綺麗に作られた資料ではありません。
「この会社を、従業員を、絶対に守りたいんです」
その、あなたの心の底からの「熱意」です。
不都合な真実を正直に話してください。
そして、それでも諦めずに会社を立て直したいという、あなたの想いをぶつけてください。
その熱意こそが、担当者の心を動かし、彼らをあなたの最強のパートナーに変える唯一の魔法です。
審査のテーブルに並べるべき、たった2つのもの
難しい事業計画書はいりません。
見栄やプライドも、一旦カバンの奥にしまってください。
あなたが審査のテーブルに並べるべきものは、たった2つです。
- 全ての「不都合な真実」
- 会社を再建したいという「燃えるような熱意」
これさえあれば、道は必ず開けます。
まとめ:プライドを捨てた先に、道は開ける。僕の失敗が、あなたの希望になることを願って。
この記事のポイントを、もう一度だけおさらいします。
- 見栄やプライドは、審査において最大の敵になる。
- あなたが隠したい不都合な真実は、プロの担当者には全てお見通し。
- 嘘をつくことは、信頼を失う最悪の選択肢。
- 全てを正直に話すことで、担当者は「敵」から「パートナー」に変わる。
- 伝えるべきは完璧な計画ではなく、会社を再建したいという「熱意」。
あの夜、8万円の通帳を握りしめて震えていた僕が、今こうして会社を立て直し、自分の経験を発信できているのは、あの時、勇気を出してプライドを捨て、全てを正直に話したからです。
諦めるのは、全てのカードを切り尽くしてからでも遅くありません。
まずは、机の中にある請求書を全部出してみてください。
それは、単なる紙切れではありません。
未来のあなたを救うための、「時限式の現金カプセル」です。
そして、ファクタリング会社の担当者には、あなたの全てを話してみてください。
社長、あなたの会社は、まだ死んでいない。